2015年1月26日月曜日

ニャンドゥティの道具について①木枠 Bastidor de madera

アルゼンチンで幸運にも発行できた「ニャンドゥティの手ほどき書」を、日本でも興味をもった方々にお手に取ってもらえることができました。全国さまざまな場所からニャンドゥティに興味をもってお問い合わせをいただき、驚きとともに本に書ききれなかったこともぜひお伝えしたい、という気持ちが生まれてきました。今年はこのブログを通じて、本に書ききれなかったこと、私の持っている知識で、もしかしたら皆様のお役に立てるかもしれないこと、、と思い少しずつご紹介していきたいと思います。

ニャンドゥティはもともとパラグアイの伝統工芸です。私はアルゼンチン滞在時にパラグアイ人のディナ・メレレス先生から学び、日本ではヴォーグ学園などで教えていらっしゃる岩谷エレナ先生に教わっておりますが、パラグアイにはまだ行った事がありません。このブログでご紹介することは、アルゼンチンで学んだこと、私なりに試行錯誤したことです。そのため、本場のパラグアイでの方法とは違うところがあるかもしれません。そのことはご了承ください。

ニャンドゥティに使う道具の中で一番、特徴的なのは四角い木枠です。スペイン語ではbastidorバスティドール、といいます。bastidorは枠、フレームを差す総称です。なのでこの木で出来たフレームの呼び名として「木枠」という名前をつけてみました。フランス刺繍などでは丸い刺繍枠が一般的だと思いますがニャンドゥティでは4本の角材を組み合わせた木枠に布を張って使います。私がアルゼンチンから持ち帰った木枠をご紹介いたします。

春の陽光がそそぐブエノスアイレスのニャンドゥティ教室で、使い込まれたこの木枠を手渡されたときに心が踊ったのを覚えています。これから未知の手芸を習うんだ、というワクワクした気持ちでした。他に参加した生徒さんには真新しい白木の木枠も手渡されていたので、この飴色に変色した木枠を手に出来たのも幸運のひとつでした。

ブエノスアイレスでは、古いものを修理して使ったり、古い住まいのあちこちを修理したりということがよくあるので大工さんや建具屋さんは身近な存在です。日本ですとホームセンターにいったりして自作する方が一般的でしょうか。自作をされる方のために詳しい寸法をご紹介いたします。

本では40cm×40cmと記載してあります。実際に角材をはかってみると、突端から突端までだと45cmです。角材の太さは幅が1.5cmで高さ(厚み)が2.5cmでした。私はこの頑丈な木枠が気に入っていますが、難点を一つ言えば、高さ(厚み)がややあるので布を張って使用していると、手がぶつかるため布の端のほうで作業ができないという点です。

横から見て布と木枠に段差がないほうが、作業はスムーズです。しかし、あまり細い角材を使うと和凧のように反ってしまうので私はおすすめしません。下記動画を見てみると、幅が広くて高さ(厚み)がない細長い板のような角材を使っていますね。そちらのほうがいいかもしれません。ホームセンターや建具屋さんと相談しながらぜひこの木枠作りにチャレンジしてみてください。そして木枠ができたらぜひ #nandutiparatodos のハッシュタグをつけてinstagramなどでご紹介下さい。



※本ブログ上で使われているニャンドゥティの用語、文章、画像、作図は本ブログ管理人によるものです。他でご使用になる場合は出典を明記してくださるようお願い申し上げます。
また、本ブログをご覧頂いて作品を作ってくださり、公開される場合にはぜひ #nandutiparatodos のハッシュタグをつけて下さいませ。ニャンドゥティパラトドス=みんなのためのニャンドゥティ という意味のスペイン語です。

Hoy les comporto mi bastidor de madera que adquirí en Buenos Aires en el curso de ñandutí organizado por Guaraní Pora. Para comenzar ñandutí, este bastidor de madera es una herramienta indispensable. Así que informo el tamaño. Cada un madero mide 45cm de largo, 1.5cm de ancho, 2.5cm de grueso. A mí me gusta mi bastidor, pero desde el punto práctico, mejor utilizar los maderos menos grueso y más ancho. Lo que pasa que si los maderos son mucho más gordos que la tela, las manos haciendos ñandutí chocan con los maderos. Como el bastidor que aparece en el video, mejor que pidan los maderos menos gordos. Ojo, si usas los maderos muy finos, el bastidor se comba.

Comparte tu bastidor con #nandutiparatodos

This is my "bastidor" =wooden frame from Buenos Aires. To start nanduti lace making, it is one of absolutely necessary tools. So, today I'll share the size of my bastidor. Each log measures 45cm long, 1.5cm wide, 2.5cm height. I love my tool, but if there is any point of making better this bastidor, it will be the height. To work smoothly on a fabric, bastidor should be more flat. I recomend to use more flat logs like a narrow board. You can see an example bastidor in the video abave. But I don't recomend to use too narrow ones, because if you use too narrow logs, the bastidor will be curved when set up a fabric.

SHARE your bastidor con #nandutiparatodos.


Copyright (C) 2015 Botanico Botanica All Rights Reserved.

2015年1月20日火曜日

あけましておめでとうございます ¡Feliz año nuevo!

おくればせながらあけましておめでとうございます。
去年は無事、「ニャンドゥティの手ほどき書」を日本で再版できて嬉しい一年となりました。デザインを担当していただいたOsanai design studioさま、再版を快く承知してくれたアルゼンチンのギャラリー、Garani Pora 本を販売してくださっているセルバンテス書店さん、皆様に感謝です。
 本について皆様からお問い合わせをいただけるようにもなり、その度に本に書ききれなかったこと、本を出してから自分で試行錯誤し身につけていったことなどがたくさんあることに気づきました。上記の本は、私がブエノスアイレスで受けたニャンドゥティの入門クラスの記録です。そのため、作り方、扱っているモチーフは100%指導者のディナ先生の手法による初歩的なものです。ワークショップなどで直接お会いできる方には私が新たに身につけたことをお伝えする事もできますが、お問い合わせ戴いた方の多くは、時間的、地理的に制約があり、本を通じてでしかお伝えすることが出来ない方々です。
 このブログのタイトルにもすえた「nanduti para todos」はスペイン語で「皆さんのためのニャンドゥティ」という意味です。手芸の好きな方々、ニャンドゥティに興味を持っていただいた方々に私なりにお伝えできることを、このブログでご紹介できたらと思っています。

ニャンドゥティの基本的なテクニックは次の二つだけ。
  1本ずつ交互に糸をくぐらせる
        


  玉留めをする

entretejido(エントレテヒード)、もしくは単にtejido(テヒード)と呼ばれます。
は本書ではcadenap.23)と書いてありますがfilete(フィレテ)という言い方の方が一般的です。

パラグアイの現在活躍中の作り手の方々、過去の作品をみてもこの二つのテクニックだけで作られているかとも思うといつも驚かされます。

この手ほどき書にはごく基本的な、ジャスミンの花、ウエボのモチーフしか紹介していないのですでに作り方をご存知の方には物足りないかもしれません。今年はこのブログやfacebookページで少しずつですがモチーフを紹介していかれたらなあ、、と思っております。
では2015年第1回目のご紹介するモチーフはArapaho(surte de alfajor_=アルファホールの一種)
アルファホールといえば、パラグアイやアルゼンチンなど南米各所で見られるお菓子で、通常はクッキーのような生地の間にジャムやドゥルセ・デ・レチェを挟んだもので、お店などで売られているものはさらに上からチョコレートでコーティングされています。このもようのどの辺りがアルファホールなのかな?と不思議に思っていたのですが、この植物の双葉のように開いたひし形の部分、がそのアルファホールのようです。丸ではなくひし形のアルファホールがあるようですね。

ネットで同じ名前のニャンドゥティのモチーフをみつけました。下記リンクの左側です。
http://ñanduti.com/deutsch/bordados/Image25.jpg

風車のようですが、どうやらこの一個一個のひし形がアルファホールのようです。

上記の図、アルファホールが二つ開いたように並んでいる上の小さな模様はKurusu´i(crucecita=小さな十字架)です。これはいろんなモチーフと合わせて使われるのでぜひ覚えてみてください。拙い絵で恐縮ですが、テクニックは①のテヒード、一つのモチーフが12本です。水色であらわしている部分はモチーフの裏側を通す、という意味です。



十字架(クルセシータ)部分の拡大です。



テクニックは上記①のテヒードのみ。左が詳細図、右が簡略化したダイアグラム(作図)です。ニャンドゥティの作り方をどうやって簡略化してあらわすか長ーい間悩みました。再版した際には全ての絵を左の詳細図のように描き直しましたが、複雑な模様をご紹介するには簡略図がないと難しい。悩んでいたところ、古書店で偶然見つけた昭和42年発行の『改訂 手芸』建帛社刊の中にそのヒントとなる作図を発見しました。テネリフレースのNeedleweaving darn stich(これはニャンドゥティのテヒードと同じステッチです)の説明のところで、ベースの糸の上をまたぐ所を横線であらわしていました。
目から鱗です!
実際にワークショップなどで対面で説明する時はむしろ「何処の糸をすくうか」を説明するのですが、それを図にするのは至難の業でした。今後はこの図でご紹介していきたいとおもいます。みなさま横線の間には糸があるとご想像下さいませ。
※間略図には一番上の糸をまたいでいる横線がありませんが、これは糸をモチーフの裏を通って下部まで持ってくる為に糸を中央に持ってきている線なので省略しました。

 しかし我ながら最初のいい加減なアルファホールの絵がお恥ずかしいですが、試行錯誤の課程ということでご容赦下さい、、、


Copyright (C) 2015 Botanico Botanica All Rights Reserved.

Les deseo a todos mis queridos tejedores de ñandutí en Buenos Aires. Quiero que sepan que sigo haciendo y trabajando ñandutí. Voy a compartir con ustedes los dechados de ñandutí. Para podemos conservar esta técnica maravillosa. El primer dechado en 2015, es Arapaho, es la parabla guaranizado de alfajor.

For all ñandutí lovers, I´ll introduce this beautiful ñandutí motif, Arapaho, it´s come from Alfajor, traditional cookies in Latin American countries.

参考文献:
  • SANJURJO,ANNICK, Ñandutí, encaje paraguayo. Asunción, Paraguay: Arandura Editorial, 2001
  •  共著、『改訂 手芸』、建帛社刊 昭和42年
※本ブログ上で使われているニャンドゥティの用語、文章、画像、作図は本ブログ管理人によるものです。他でご使用になる場合は出典を明記してくださるようお願い申し上げます。
また、本ブログをご覧頂いて作品を作ってくださり、公開される場合にはぜひ #nandutiparatodos のハッシュタグをつけて下さいませ。ニャンドゥティパラトドス=みんなのためのニャンドゥティ という意味のスペイン語です。